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私たちは誰もが災害の危険と隣り合わせで生活していると言っても過言ではありません。防災情報の基礎知識や「いざ!避難」という時にとるべき対応を分かりやすく解説しています。

地震 水害 知識

災害用のトイレ どんな種類が?どう使う?

想像してみてください。地震や水害、突然の停電でトイレが使えなくなったら…。マンションでは一見使えるようでも、下の階が汚水であふれてしまうことも。災害時にトイレを我慢することは健康被害にもつながり、備蓄を進めることが非常に大切です。どのようなトイレを備蓄すればいいのか、そして便利な使い方はどういうものなのでしょうか。

各局で放送された防災ニュースや解説の内容です

目次

    自宅用には便器取り付けタイプがおすすめ

    自宅でどうやって備えておけばよいのか。専門家などがすすめるのは「携帯トイレ」。中でも冒頭の画像で赤囲みしている「自宅のトイレの便器に取り付けて使う袋タイプ」が特におすすめです。簡易トイレはトイレが破損してしまったり、避難所などでトイレが足りなくなったりした時に使います。

    携帯トイレは最低3日分、できれば7日分あると安心です。
    例えば、1日に5回行く人であれば、5回×3日=15回分。7日で35回分です。

    4人家族であれば3日で60回分、7日で140回分。1箱10回分入りの携帯トイレならば6箱~14箱…多いと思いますが災害時のトイレの不安は心身ともに影響を及ぼすことを考えると多めに用意することが重要です。

    ではどうやって使うのか?

    携帯トイレの使い方

    ポイントは、はじめにゴミ袋などを用意して便器を覆うようにかぶせた後、便座をおろして挟んでおき、その上から携帯トイレを使うことです。携帯トイレが便器の底の水でぬれるのを防ぐことが出来るので衛生的です。

    捨てる時、災害直後は自治体などのゴミの収集も遅れてしまうので、しっかり袋を結んでまとめておき、その後ゴミの収集などが始まったら自治体の指定にあわせて捨てるようにして下さい。

    合わせて用意しておくといいモノ

    携帯トイレに合わせて備蓄するといいモノ

    1.トイレットペーパー
    携帯トイレに気を取られ忘れがちです。災害で物流が途絶え、品切れになってしまう可能性もあるので備えておくといいです。1人当たり1ロール/週間が消費の目安です。最近では3倍巻きなど長巻きのものもあり、比較的場所を取らなくていいです。

    2.ランタンやヘッドライト
    トイレには窓がない場合が多く、停電すると真っ暗になります。暗いと不安ですし、見えづらくてトイレに失敗したら掃除する水も手に入りにくいので大変です。両手を空けるためにも懐中電灯ではなく、ランタンやヘッドライトをおすすめします。

    3.ポリ袋(45リットル)
    便器にかぶせるポリ袋は、携帯トイレセットの中に入っていないこともあるので、自分で備えておくようにしましょう。スーパーやコンビニでもらうようなレジ袋だと小さく45リットルくらいのポリ袋だとちょうどいいです。

    4.アルコールウエットティッシュやペーパータオル
    断水していることも多いので用を足したあとに手をふくのに使います。

    マンションでは流す前に確認して!

    マンションで汚水あふれる
    国土交通省「災害時のトイレ、どうする?」より

    マンションにお住まいの方。一見、水が流せるようなトイレでも、ちょっと待って下さい。実は故障していて下の階の人のトイレに汚水があふれてしまう可能性があります。2016年の熊本地震などで実際に起きていることです。

    大きな地震のあと、停電しているとき、断水しているとき、排水管が壊れているときは水を流す前に問題がないか確認してほしいと、国は呼びかけています。

    マンションのトイレチェックポイント

    マンションではさらにどんなことに気をつけたらいいか、被災地のトイレ環境調査などを行っている日本トイレ研究所の加藤篤さんに聞きました。

    加藤さんはマンションでは、管理組合が中心となってトイレの災害時の使い方を話し合い、準備することが大事だと話していました。

    加藤さんのマンションチェックポイント

    加藤さんは、災害後はトイレが一番の問題になると言っても過言ではないと強調します。

    現実に名古屋大学などの調査では、東日本大震災で3日以内に仮設トイレが届いた自治体は34%、半分近くの自治体では1週間たっても届きませんでした。最も日数がかかったのは65日後でした。

    「首都直下地震」では幹線道路が帰宅困難者であふれて避難所や公衆トイレに人が殺到し、最悪の場合、トイレに行きたくてもすぐに見つからない状況が17時間も続く可能性が指摘されています。

    想像するだけでも厳しい状況です…。食料や水といった「体に入れる備え」だけではなく「体から出すための備え」についてもぜひ考えてみてほしいです。
    (社会部災害担当 清木まりあ)


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